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偽装一人親方対策 ガイドライン改正へ
2022.02.28|イベントレポート&ブログ,トピックス
国土交通省は、建設業における一人親方問題に対策を講じるために、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」改正に向けて改訂案のパブリックコメントを2022年3月3日まで実施しています。
改訂案では2020年10月の建設業法改正によって適切な社会保険加入が建設業許可の基準とされ、また、建設業法でも規定された作業員名簿の活用による労働者単位での社会保険加入の徹底により、規制逃れを目的とした一人親方化に対して具体的な対応が示されています。
偽装一人親方対策のポイント
改訂案の中では、偽装一人親方対策として以下の内容が示されています。
●元請企業は作業員が工事を請け負う個人事業主として現場に入場するのか、実態が雇用契約を締結すべきと考えられる雇用労働者として現場に入場するのか十分確認する
●元請企業は、一人親方と下請契約を交わす下請企業に対し、再下請負通知書及び請負契約書の提出を求め、請負契約書の内容が適切かどうかを確認する
●元請企業は、一人親方本人に対し、現場作業に従事する際の実態を確認するために「働き方自己診断チェックリスト」を参考にする
●実態が雇用形態であるのに、一人親方として仕事をさせている下請企業を元請企業は指導(雇用関係への誘導)し、従わない場合は現場入場を認めない取扱いとする
●適正一人親方、適正でないと考えられる一人親方の具体的な例を記載
では、適正な一人親方、適正でないと考えられる一人親方の具体的な例を確認します。
適正一人親方とは?
適正一人親方とは、請負った建設工事を自らの技能と責任で完成させることができる現場作業に従事する個人事業主としています。
(技能)
・相当程度の年数を上回る実務経験を有し、多種の立場を経験していること
・専門工事の技術のほか安全衛生等の様々な知識を習得していること
・職長クラス(建設キャリアアップシステムレベル3相当)の能力があること
(責任)
・建設業法や社会保険関係法令を遵守すること
・事業所得の納税等の各種法令を遵守すること
・適正な工期及び請負金額での契約を締結していること
・請け負った工事の完遂がされること
・他社からの信頼や経営力があること
適正でないと考えられる一人親方の具体例
・年齢が10代の技能者で一人親方として扱われているもの
・経験年数が3年未満の技能者で一人親方として扱われているもの
・働き方自己診断チェックリストで確認した結果、雇用労働者に当てはまる働き方をしているもの
偽装一人親方については、既に今年度の立入検査の重点事項とされていました。元請企業には、改訂後のガイドラインに沿った下請指導が求められます。